エビフライ
1月も後半に差し掛かったのに、未だに雪が降りません。
鈴鹿の山には、何度かうっすらと積もったようですが、とても根雪になるような降り方ではありません。近くの農家のかたは、早くも「今年は水不足だ」と言い始めています。この場合の水不足というのは、田植え以降の田んぼに十分な水が入れられないという意味であり、文字通り死活問題。
雪が少ないと日常生活の上ではありがたいとは言え、やはりある程度は降ってくれないと、人の暮らしも困ったことになります。
しかしこればかりはどうしようもないので、今回もまた、雪の無い渓流に行きました。
晩秋の産卵シーズンには、たくさんのイワナを見ることができましたが、前回1月に行った時には、かなり姿を見なくなっていました。それがたまたまなのか、そもそも産卵シーズンが終わればイワナが姿を見せないのかを確認するために、今回も渓流に入ります。
渓流には、よく川をまたいで木が倒れています。倒れた木が枯れると、そこにキノコが生えることがありますが、これほどたくさんのキノコに覆われた倒木は初めて見ました。黒っぽい色のカワラタケで、確かにこのキノコは、切り株など1箇所にたくさん生えるキノコですが、ここまで多いとは!
さて、肝心のイワナですが、ようやく1匹見つけました。水の中にたまった落ち葉の上で、じっとしています。
ここに落ち葉がたまっていると言うことは、流れがゆるく、しかも流れてくる物がたまりやすい場所ということで、ここで流下してくるエサを待っているのでしょう。しかし、今の時期は落ちて流れてくる虫も少ないせいか、あまり活発な動きは見せません。
もう少し近寄って撮影しようと、静かに前に進んだら、何と気付かれて逃げられてしまいました!産卵シーズンならまったく気付かれずにすんだのに、この時期のイワナはシビアですね。
この後も、かなり谷を上っていきますが、2,3匹のイワナを一瞬見ただけで、じっくり観察できるようなイワナを見つけることはできませんでした。みんなすぐに逃げます。2,3匹逃げるイワナを見られたのは運の良い方で、「この場所には絶対いるだろう」というポイントにことごとくイワナの姿が見られないのです。
やはり、シーズン中と冬場ではイワナの居着く場所も違うのでしょうか?それとも、いるのだけど、かなり前にこちらを察知して姿を隠してしまっているのでしょうか?
こんな風に、大量の落ち葉が沈んでいるのがこの時期の渓流の特徴。もしや、この落ち葉の布団の中に隠れているのでは・・・と思い、落ち葉のたまった数箇所で、いかにもいそうな場所の落ち葉をめくってみたのですが、まったく気配なし。
この谷には、今まで何度も入っていて、釣果もそこそこある谷でした。いったい、この時期にイワナはどこにいるのでしょうね・・・
この谷に何度か入った時、いつも上の写真の滝で引き返していました。ここまで来ると結構な時間になってしまうということも引き返す理由のひとつなのですが、高さ4mほどのこの滝は、直接滝を登るには足場が悪く、迂回しようにも周囲を急斜面に囲まれているためたいへんそうなので、越えるのをあきらめていたというのが実際のところ。
しかし今回は、いつも引き返すこの滝に気付かないまま、上って行ってしまったのです。かなり上ってから、「あれ、いつも引き返している滝は、まだ先だったかな?」と思ってYAMAPで現在位置を確認したら、すでに滝を越えているではないですか!
渓流釣り2シーズン目を終えて、これくらいの滝なら難なく越えられるようになっていた、ということでしょうか。ちょっとうれしかったです。まあ、確かにいつもより水量は少なかったけど・・・
今回は、あいにくイワナにあまり出会えませんでしたが、うれしい出会いがありました。リスです。
リスと言えば、普通の人は茶色くて背中に縞模様のあるシマリスを思い浮かべるでしょうが、このあたりにいるシマリスは外来種で、もともとこの地域にいるリスは写真のニホンリスというものです。色はグレー、冬は耳がとがったように毛が生え、お腹が白くなっています。
私の前を、2匹のニホンリスが走り回っていましたが、私が近づくと2匹とも一旦山の中に逃げました。私がその間に渓流を少し上ると、1匹のリスが山中をかなり迂回して、最初に見つけた場所に戻ろうとしているように見えたので、こっそりと引き返して、先ほどの場所を見張ると、写真のように再び姿を見せてくれたのです。
よほど良いエサがあったのか、木にさかさまにぶら下がりながら、エサを食べていました。
リスのエサとして思い浮かべるのは、ひまわりのタネやマツボックリですが、山には当然ひまわりはないので、マツの木を探すと、1本大きなマツがありました。周辺には、マツボックリが落ちています。これは・・・もしかしたら「エビフライ」が見つかるのでは!?
エビフライというのは、リスがマツボックリ(の中のタネ)を食べた後にポイッと捨てるもので、これがエビフライそっくりなのです。イワナのことも忘れて、しばらく山中を探して歩いたら・・・
ありました!立派なエビフライ!
左のものは形が完璧、右のものは揚げたてのような色が完璧!
今回の収穫は、このエビフライに決定です。