Forest and River

森のこと、川のこと

稚魚放流

今年も、イワナ・アマゴ稚魚放流の時期がやってきました。

暖冬で魚の成育も早いせいか、今年の愛知川上流域でのイワナ・アマゴ稚魚放流は2月16日からスタートしています。忙しくてなかなか参加できませんでしたが、ようやく24日に時間ができたので、今シーズン初めての稚魚放流に参加してきました!

ところが、これがもうクタクタに・・・

私は、2017年から稚魚放流のボランティアに参加していいて、今年で4年目になりますが、数にするとまだ数回。2年前から始めた渓流釣りの回数こそ50回を越えましたが、稚魚放流はまだまだ素人です。

稚魚放流は、釣りに行くのとはまた次元が違います。

まず、稚魚を1,000~1,500匹入れた水入りポリ袋をかついでいかないといけません。一袋5kg以上あるかな?かなり重い上に、ポリ袋の水が歩くたびにチャプチャプと揺れるので、崖を歩くときなどヒヤヒヤものです。

そして、できるだけ源頭部まで行く必要があります。釣りの時は、自分の体力や時間と相談しながら、適当な場所で自分の判断で引き返せますが、放流はできるだけ上まで上る必要があります。

おまけに、時間。ポリ袋には、稚魚と水と酸素をパンパンに入れて行くのですが、かついで歩いている間に稚魚が酸素を消費するし、おまけに水温も上がっていきます。できれば、2時間以内に放流してあげたい。

 

この日、集まったボランティアは10名。まずは、みんなでどの谷に放流に行くか相談します。基本は、1人で1つの谷を担当します。初心者の人には、できるだけ簡単に上れる谷が割り当てられるので、昨年まで私もまあまあ行きやすい谷に行かせてもらっていました。

4年目の今年も、まだ初心者に毛の生えたようなものなので、昨年放流したのと同じ谷を選んだら・・・組合長から、「もっと難しい谷に行け」との指令が・・・

「じゃ、じゃあ、○○谷に行ってみます」と、ほぼ初めての谷を選択。この谷の印象は、「遡行するのにそれほど技術はいらないが、源流部までの距離がとにかく長い」というものです。

しかも、「今回はイワナ2袋かついでいけ」とのご注文・・・2袋で10kg超ですか!さらに、谷の入り口で放流して良いからと、アマゴも1袋も追加。まあ、アマゴは、しばらく手に持って運んでから放流すれば良いとして、イワナ2袋はさすがに重く、かさばります。

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60~70リットルクラスのザックを持参したのですが、さすがに2袋を入れるのはキツい。ストラップを最大に伸ばして、何とか2袋を押し込みました。担いでみると、お、重い!食料・飲料その他合わせると15kg以上ありそうです。

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車で谷の入口に到着。さあ、ここからは時間との勝負。谷に着いたのが10時頃。なんとか、12時頃には源流部まで行きたいものです。
まずは、谷に入ってすぐのところでアマゴ1袋(約1,000匹)を放流します。 

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放流前のアマゴ稚魚たち。アマゴはこのサイズでも、パーマークがはっきり出ていてかわいいですね。

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場所を分けながら放流。イワナの稚魚は、放流直後は川底にへばりつくようにしているのが多いですが、アマゴ稚魚はサイズが一回り大きいせいか、あるいはイワナよりもアマゴの方が泳ぐ力が強いためか、放流直後もすぐに泳いでいますね。

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この谷は、両岸を落葉広葉樹林に覆われています。経験的に言えば、落葉広葉樹林が生育しているということは、急傾斜で植林できない場所が多いわけですが、この谷の地形図を見ても実際の斜面を見ても、すごく急峻という感じはしません。だから、植林地が広がっていないことが少し不思議だったのですが・・・しばらく歩いていると、少し理由が分かったような気がしました。上の写真のように、崩落地が非常に多いのです。しかも小規模な崩落ではなく、斜面のある場所から一気に崩れているという感じ。

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典型的なのは、上の写真のような場所。崩落した土砂が堆積して、河原が埋まっています。川の水は、土砂の下を伏流水となって流れているため、目に見えて流れている水の量はとても少ないです。

この谷は、川沿いに山道や獣道が少なく、ひたすらこのような石だらけの河原を歩いて行くので、むちゃくちゃ疲れます。 

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それでも、1時間以上歩くと、ようやく渓流らしい流れに出会えるようになってきました。 

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 川には、特徴的な石がたくさんあります。

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重いザックをかついで約1時間30分。ここまで順調に進んできたのですが、突然目の前に大きな滝が!写真ではあまり大きな滝に見えないですが、落差が5mほどあり、周りもとても上れそうにない滝にぶつかりました!

これは予想外。さて、どうしたものか・・・放流指示された場所は、まだまだ先です。何とか滝を越えようと、とにかく周囲の急斜面に取り付き始めますが、なかなか先に進めません。ああでもない、こうでもないとルートを探して、やっと越えられそうなルートを見つけて越えることができましたが、大幅に時間をロスしてしまいました。

時間は12時。そろそろ放流しないといけませんが、放流地点はまだ先。もうちょっとがんばろう! 

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しかし、上の写真の場所でついに12時30分。2袋のイワナ稚魚(約3,000匹)もそろそろ限界ですが、私の体力ももう限界。放流指示された地点まで、あと200mほどだったのですが、ここで力尽きてしまい放流することにしました。

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放流地点の周囲の状況。ここも大規模な崩落が起きている場所です。

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放流したイワナ稚魚。やはりイワナは、放流直後は川底に張り付くようにしていました。実物はそうでもないのですが、写真に撮るとやたら紫色の体色に見えます。今はまだ小さいですが、1年で約10cmに成長します。がんばって大きくなっておくれ!

ザックは軽くなりましたが、帰りはもうヘトヘトになりながら、何とか無事に車までたどり着きました。10人のボランティアのうち、私の帰着が一番遅かったようです。いやあ、まだまだ素人です。

さあ、愛知川上流の渓流釣りは、いよいよ明日2月29日から解禁!週末は仕事なので行けませんが、来週から3シーズン目のテンカラを楽しみます!