Forest and River

森のこと、川のこと

苦労の甲斐無く・・・

8月26日、今日もテンカラへ。ただ、かなりの大雨が降った数日後だったので、あまり条件は良くないかなと思いつつ、この日が休みなんだからしょうがない。こういう時は、初めての谷へ冒険へ出かけよう!

というわけで、今回は、今までにやったことのない遡行の方法を取ることにしました。といっても特別な技術を使うということではありません。

いつもは、谷に入ってひたすら釣り上がり、途中で同じ谷を引き返すという方法ですが、今回は谷に入って竿も出さずにひたすら下流へと進み、その川がより大きな谷に合流したところから釣り上がっていき、やがて林道に出て、林道を歩いて車のところまで戻るというルートです。

このルートの魅力は、あまり人が入ってなさそうなので、もしかしたら天国が広がるかも・・・!という期待感と、同じ谷を引き返さなくて良いので楽しいことの2点。

反面、不安要素は、車に戻るために必要な時間がまったく読めないことと、ルート途中で「これ以上進めない」という場所があれば引き返すしかないということ。これ以上進めないという場所が前半に出てくればまだ引き返せますが、釣行終盤に出てくれば「え~今からこれを引き返すの~?」という気持ちになるに決まっているので、たぶん無茶なルートで強引に林道に戻ろうとしてしまう・・・

どちらかと言えば不安要素の方が大きかったので、今までこのルートは取らずにきたのですが、いつかは行こうとい思っていたので今回思い切って行くことにしました。

さて、いきなり谷を下っていくのは初めての体験なので、変な感じです。この谷の上流には何度も釣りに来ていて、まあまあイワナに出会うことが多いので、下る途中にも運が良ければこちらに気づかないイワナに出会えるかもと期待して下ります。

そしたらいきなり!大きな淵に当たったので、そ~っとのぞき込むと・・・ 

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いや~立派なサイズが悠然と泳いでいるではないですか!最低でも8寸、もしかしたら尺サイズ?これはダメ元でもトライしてみないと!

早速、静かに竿を出して、ビースヘッドの毛鉤をつけた仕掛けをセット。しかし、大きいサイズの魚は賢い。とても慎重に準備をしていたにも関わらず、毛鉤を入れる頃には姿を消していました。もしかしたらという期待感だけを頼りに数回毛鉤を入れてみましたが、まったく姿を見せず。やはり、私にはまだこのサイズを釣れるだけの腕はないようです。

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大きなサイズが泳いでいたのはこんな淵でした。さらに下りていくと、また魚影が。18cmくらい?そこでも竿を出してみましたが、やはり釣れませんでした。 

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やがて、地形図には載っていない堰堤に出くわしました。地形図に載らないほどなので、簡単に下りられるだろうと思って近づいてみると、8mほどの落差があるとても大きな堰堤!しかも周囲は相当に切り立っており、とても堰堤の縁を下りられそうにありません。いきなりここで終了!?

さすがにそれは悔しいので、落ち着いて周囲をよく観察。よく見ると、堰堤より下流の左岸側斜面に植林地が広がっています。植林されているということは、比較的緩傾斜ということ。このため、一旦上流側に戻って、左岸の急傾斜に取り付けそうな場所を探すことにしました。かなりの急傾斜でしたが、なんとか取り付き場所を探し、上っていくと、植林地がすぐ近くに見えます。あと少しなんですが、今いる場所は落葉広葉樹林。つまり急傾斜過ぎて植林されなかった場所。岩が露出し、手がかりや足がかりが少ない。それでも、なんとかルートを探しながら、ようやく植林地にたどり着けました。そこからスギ林の中を下りていくと、なんとか再び川に出られました。

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ずいぶん高低差の低い地形になってきました。これはそろそろ大きな谷と合流しそうだぞ。 

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すると、大きな谷の大きな堰堤の直上に出ました。地形図に無い途中の堰堤は予想外でしたが、この堰堤の上に出るのは予定通りのルートです。 

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さあ、お楽しみの時間!竿と毛鉤を出して、早速釣り上がります。 

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この谷のかなり下流の方には、何度も入ったことがあるのですが、ここまで上に来たのはもちろん初めて。ワクワクしながら竿を振っていきます。

しかし歩いていると、上の写真のように、ちょっとイワナ向きではない気がしてきました。岩はゴロゴロしているのですが、その岩がほとんど砂礫に埋まっているのです。まだテンカラを始めて2シーズン目ですが、川底が砂礫に埋まっている谷にはあまりイワナがいないということも分かってきました。 

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一度の魚影を見ることもできないまま、大きな堰堤に到達。この堰堤は地形図にも記されているので予定通り。この先に、あともうひとつ堰堤があるはずです。

不安だったのは、これらの堰堤を越えるルートが見つかるだろうか、ということでしたが、いとも簡単に見つかり、しかも今までの堰堤越えの経験から言っても、有料道路くらいに快適な迂回路がありました。 

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堰堤を越える度に、新しい期待に胸が膨らみますが、う~ん、やはり劇的に変わりませんね。相変わらず砂礫に埋まった谷が続きます。 

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またまた一度の魚影にも会えないまま、予定通り2つめの堰堤に到着。この堰堤も、いとも簡単に迂回できました。ちなみに両方の堰堤とも、堰堤の落ち込みには魚影なし。 

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さらに上りますが、状況は一向に好転しません。そろそろ昼食にするかと、座るのに良い石を探していたら、まるで作って置かれたかのような円柱状の石を発見。上は真っ平ら。腰を下ろして荷物を置くのに、高さも大きさもちょうど良い。今までの釣行の中で、最高に快適な石でした。 

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昼食後、さらに上って行きます。ポイントになりそうなところに、こまめに毛鉤を入れていくのですが、反応はおろか魚影すらなし。いつもなら、アプローチが下手で魚に先に気付かれて「走られた」ら、しまった!と思うのですが、今回ばかりは「お願いだから1匹でも走って、魚がいることをアピールして!」と思いながら進むのですが、1匹の魚も走らず。上の写真は、今後の参考にと水中カメラで川底の様子を撮影したものですが、ご覧のように粒の細かい花崗岩の砂礫で隙間無く埋められています。 

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かなり上ってきたところで、ようやく1匹の魚が走りました!やった!いよいよここからか?と思いながら進むと・・・ 

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何と地形図に記載のない大きな堰堤がまた出現!遠回りしてようやく迂回できました。 

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やっと釣れるかと思いながら進むと、何とまた地形図に無い堰堤!しかも大きく、周囲はかなり険しい。予定では、あと100mほど進むと計画通りの林道に出られるはずなのですが、この堰堤を迂回するには相当回り込まないとダメです。しかも、回り込んで谷に降りたところで、竿を振れる区間はあとわずかしかありません。

釣りはあきらめも肝心。今日はここまで、と竿をしまい、迂回ルートを探して林道に出ることにしました。全く釣れなかったせいか、予想していたよりも早く車まで戻れました。しかし今回は、堰堤を5つも越えずいぶん苦労したにも関わらず、釣果は0・・・でもまあ、もうこの谷には行かなくて良いと分かっただけで、収穫有りと思うことにしましょう。