Forest and River

森のこと、川のこと

イワナの不思議

2019年の近畿地方の梅雨入りは6月26日でした。これは、1951年からの観測史上で最も遅いとのことで、平年に比べて19日も遅い梅雨入りでした。そして梅雨に入った途端、豪雨続き。人間にとっても、生き物や植物にとっても、キツい気象状況ですね。

そんな梅雨空の下、テンカラに行くべきか行かざるべきか・・・雨が嫌というわけではないのですが、まだテンカラ2シーズン目で経験値が浅いため、降雨による谷の増水がどれほどなのか分からず不安なのです。でも行きたい・・・

そこで、どの谷に行けば比較的安全か考えてから出かけることにします。まず、本流を渡らないと行けないような谷は外します。本流は降雨の影響が大きく、水量が半端ではないので、増水すればとても渡渉できません。次に、急斜面をのぼったり、滝などを大きく迂回しないといけないような谷も避けます。雨で表土がゆるんで滑りやすくなっているからです。最後に、手入れ不足の人工林が多い谷も避けます。下層植生の乏しい手入れ不足の人工林では、降雨が一気に流れ出てくる可能性もあります。

というわけで、いくつかの候補に絞り込んだのち、よし、今日はここに行こう!と決めて、茶屋川の支谷のひとつに入りました。

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この日は10時頃まで雨が降る予報だったので、遅めに出発して、11時前に谷に入りました。予報通り、ちょうど雨もあがったところ。本流はかなり増水して濁っていますが、支谷は水量こそ多いものの、うっすら笹濁り程度で、ちゃんと川底も見えています。 

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ツルアジサイに似たイワガラミの白い花が咲いていました。こういうのに出会うだけで、渓流に来て良かった、と思えます。

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さて、早速谷に入ります。増水して魚も食い気満々?結構、あちこちで魚影を見かけます。これは釣れるかも・・・そんな期待をしながら谷を進むと、上の写真のところで流下するエサを待つイワナを発見。さっそく、毛鉤を投げると・・・

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釣れた!18cmの立派なイワナです。ものすごく色白です。こんな白いイワナを釣ったのは初めてでないかな?このイワナにはパーマークがありませんね。

この後、さらに上りながら毛鉤を入れていきます。おっ、釣れた!というのが3~4回あったのですが、障害物が多くて今回も取り込みが上手くいかずに全部逃げられてしまいました。

時間はすでに12:30。一旦、昼食をとって落ち着きます。この時の気温は21度、水温は何と18度もあります。

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そして再開。もう少し上流にあがって写真のような瀬に。魚影は見えませんが、ここはいるだろう、と思って毛鉤を流すと・・・

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17cm!うっすらとパーマークが出た、見事なオレンジ色の点々のあるイワナでした。美しい。 

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その直後に16cm!パーマークがはっきり出たイワナ。このイワナ、小ぶりなのにすごく元気があって、網の深さが26cmあるランディングネットの底から、もうちょっとで跳びはねて逃げられそうになりました。テンカラ初シーズンの昨年は、どうせ大物は釣れないから・・・と、Sサイズのランディングネットを買ったのですが、ネットに納めたものの逃げられたことが2回あり、今シーズンから二回り大きいLサイズのランディングネットにしています。大きくて良かった・・・

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次、上の写真の深みを狙います。底の方にイワナがいるような影がチラチラと動いていたので、沈めるビーズヘッド毛鉤に変更。3回入れて・・・ 

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おお、21cm!立派なイワナです!

ただ、深いところで毛鉤をくわえたので、くわえた姿を確認できず、「あれ、今くわえたかな・・・?」と数秒放置しておいたらラインが動き始め、ようやく釣り上げたので、珍しく毛鉤を飲まれてしまいました。まあ、そのおかげで釣り上げて暴れられても簡単にバレなかったのだと思いますが・・・幸い、フォーセップ(針外し)で簡単に毛鉤を外せたので、リリース後も元気に泳いで行きました。 

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だいぶ上流に上がってきましたが、今日は水量が多いのでポイントがいっぱいあります。小さなたまりのところも丁寧に探っていくと・・・

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18cm!立派です。このイワナにはオレンジ色の点々がありませんね。白点も他のイワナより大きい気がします。 

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さあ、そろそろ帰らないといけない時間です。あと1回だけ、もう1回だけと延長戦を4回ほど続けてしまって最後に出会った上の写真の場所。ここもいそうだ!深みもありますが、ここはビーズヘッドではなく普通の毛鉤を使います。 

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そしたら!この日最大の22cm!白点の大きさがやや小さいですね。この22cmは、先ほど毛鉤を飲んだ21cmほど深い場所でくわえなかったのですが、釣り上げるまでに少しだけ間を置いたせいか、毛鉤を飲んでいました。大きめのイワナは毛鉤を吸い込む力が強いのかな?無事にフォーセップで外せました。

イワナは、谷によって模様が違うとよく言われますが、今回同じ谷で、同じ日に釣った6匹のイワナは、すべて(微妙に)模様が違っていました。同じ谷とは言え、すんでいる場所が違うのだから当然、と言えるのかどうなのか・・・これがイワナの不思議であり、面白いところなのかもしれませんね。 

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谷を降りていると、突然林内にこんな植物が!ツチアケビです。秋に真っ赤なアケビのような実をつけるこの植物は、今の時期茶色で、地味な花をつけています。

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秋に再びこの場所に来たならば、ぜひ赤い実を見てみたいものです。

動物や植物が多様だと、それだけで楽しいですね。