Forest and River

森のこと、川のこと

イワナのいる谷、いない谷

今年は春が遅いのか早いのか・・・例年よりイワナたちは早く成長しているようですが、植物は遅い気がします。4月も半ばというのに、街ではまだソメイヨシノが見頃の4月15日、初めての谷2つに入りました。

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愛知川の上流河川である御池川、茶屋川、神崎川のうち、私はこれまで主に茶屋川水系に釣りに行ってました。しかし、今シーズンは他の川にも行ってみようと、まず神崎川水系の2つの谷に行きました。神崎川には他にもたくさんの谷がありますが、それらはまたいずれ。今回は、最後に残った御池川水系に入りました。上の写真は、撮影の角度の加減で水が緑っぽく見えますが、実際には御池川の水はとてもきれいです。

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さて、御池川にもたくさんの支流がありますが、今回思い定めたの支流のひとつに入ろうと行ってみると・・・いきなり大きな滝!滝の近くはとても登れそうにない断崖絶壁。やむを得ず、山中に入り迂回できる場所を探します。 

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山中に入ると、思わぬ出会いもあります。こちらはトチノキの巨木。周りはすっかり植林地ですが、地域の人たちは、このトチノキだけは伐らずに残したのでしょうね。

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無事に滝の上部の谷に出ました。しかし、この渓相は・・・これはイワナはいないのではないだろうか。 

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とりあえず、竿は出さず上って行きますが、まったく魚影無し。川底は礫ではなく、泥や落ち葉です。これはイワナはいないわ・・・ 

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とか言いつつ、いつかは魚影が走るかもと期待しながら、1時間以上も上りました。少し川底に礫がある場所が出てきたのですが、この程度では・・・水量も少ないし、たぶんこの谷にイワナはいないだろうと考え、引き返すことにしました。 

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途中、シロバナネコノメソウ(もしくはハナネコノメ)が咲いていました。渓流は、こういう出会いが楽しめて良いですね。

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「なんだこれ?」と思ってとりあえず撮影したコケ。調べてみると、蛇の皮に似た模様からジャゴケ(蛇苔)という名が付けられているコケでした。まさに蛇の皮模様。 

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そして、そのジャゴケからにょっきり出ているキノコのようなものは、雌器托(しきたく)。コケに関する用語は難解なので私は正確に説明できませんが、要するに子孫を増やすための器官です。それにしても面白い形です。

さて、一旦御池川本流に戻り、地形図を眺めて次はどうしようかと考えます。一度車に戻って、近くにある別の支流に移動することにしました。

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車で数分。別の谷の入口に到着。車を降りて、まずは御池川本流に入ります。川沿いには、シロモジの花が咲いていました。

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さて、支流に入ろうとしてまたびっくり!いきなり大きな堰堤があります。1/25,000地形図には記されていないのですが・・・

これだけ堰堤が大きいと、上流に放流されていない限りイワナはいないでしょう。今日はボウズだな。しかし、今から他の谷に行く時間も無いので、とりあえずこの堰堤を越えることにします。

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ところが、堰堤を越える場所もなかなか険しい。経験の少ない昨シーズンなら越えずに帰っていたと思いますが、多少は経験を積んできたので、安全のためロープを張って下りることにしました。

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すると・・・「これは、イワナいるんじゃないの!?」と思える渓相。ただし、放流されていれば、という条件つきですが。

実際にイワナがいるかどうかは釣ってみないと分かりませんが、たとえ釣れなくても、「イワナがいそうだ」と思えるような渓相の谷で、竿を振れるということだけでも嬉しいものです。早速、3.3mのテンカラ竿を出します。

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堰堤を越えてすぐのところなので、イワナがいたとしても既に釣られていないかもしれませんが、いそうだなと思う小さなポイントに毛鉤を入れていきます。上の写真もそんな小さなポイントのひとつ。枝の出た倒木や沈んだ障害物あって毛鉤を入れるには悪い条件ですが、こんなところだからこそ釣られずにいるかも・・・

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そしたら、本当に釣れました!15cmのイワナ。小さいけど、「この谷はいそうだぞ」と思った谷で釣れたので、本当にうれしかったです。

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この谷にも、シロバナネコノメソウが咲いていました。

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岩の上にはコチャルメルソウが咲いていました。

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コチャルメルソウは、本当に変わった花の形ですね。

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さて、堰堤を越えてまだ少ししか進んでいないのに、越せそうにない滝に当たりました。最後に、ここで竿を振ろう。毛鉤をビーズヘッドに交換し、滝壺の手前から入れていくことにします。

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そしたら、何とまた15cmのイワナが!まだサビ色の残るイワナでした。堰堤を越えてから100mも進まないほんの短い区間でしたが、2匹もイワナが釣れてよかったです!

今回は、イワナのいる谷、いない谷がなんとなく分かった気がして、これもよかったです。

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帰り道、御池川本流にヤマザクラが咲いていました。やっぱり、ソメイヨシノよりヤマザクラの方が好きだなあ。