Forest and River

森のこと、川のこと

神崎川水系仙香谷

私がテンカラに行く愛知川は、その上流を御池川・茶屋川・神崎川の3つの川によって構成されています。昨シーズンは茶屋川ばかりに釣りに行きましたが、たまには違う川にも行ってみようと、初めて神崎川に入りました。

本流でテンカラをする腕はないので、支流のひとつ、仙香谷に入ることにしました。

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まずは林道から神崎川本流に下ります。愛知川3水系の中でも、真っ白な花崗岩の巨岩がごろごろとあって、碧く透明な水が流れる神崎川の景観は別格です。5月の連休以降は、沢登りのツアー客などでいっぱいになるので、釣りをするなら今のうち。ちなみに林道入口には施錠されたゲートが設置されていますが、今の時期はゲートが開放されています。昨年は、4月下旬には再びゲートが閉じられました。そうなると、林道をひたすら歩かないといけません。

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この写真は、神崎川に下りる前に、林道から仙香谷を撮影したもの。写真のように、仙香谷は非常に深いV字谷なので、3.3mの竿でテンカラをするにはちょうど良いだろうと思って入ったのですが・・・

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もう谷に入ってびっくり!支流とは思えない川幅と、深い淵や段差の大きな滝が連続し、また両岸が切り立って巨岩がごろごろしているので、泳がない限りとても遡行できそうにありません。

上の写真は、谷に入って間もなくの場所で、向かって右側の淵は背丈ほどありそうな水深だし、左側の浅そうに見える場所でも腰くらいの水深がありそうで、私にはとても遡行は無理です。

やむを得ず、一旦山に上がって川沿いに歩ける場所を探します。

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山の中に入ると、いろいろな植物に出会えるのでそれはそれで楽しいものです。こちらはきれいに咲いていたショウジョウバカマ。まだ咲き始めたばかりです。

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こちらはゴヨウマツ。普通のマツのように二葉ではなく五葉出ているマツです。

実際には、のんきに植物観察をしながら山を歩いているのではなく、道が無い山中をいったいどう進めば良いのかと悩みながら上っていきます。場所によっては、進めば進むほど川から離れていってしまい、このまま進んでも川に下りられないのでは?と不安になること多数。おそらくこっちだろう、いや、やっぱりこっちかと行きつ戻りつしながら、1時間以上、山中をさまよいました。

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そしてようやく、テンカラができそうな川に下りられる場所を発見。ようやく竿を出します。

しかし、神崎川は本流も支流も水がきれいすぎます。川底も砂利ではなく岩であることが多く、両岸も木が張り出す場所より岩で囲まれている場所が多いです。はっきり言って、イワナが全然いそうにない。実際、まだ1匹も魚影を見ていません。

でも、神崎川水系には毎年イワナやアマゴの稚魚放流が行われているので、どこかには育ったイワナたちがいるはず。とりあえず、せっかく苦労して川に下りたのだから、イワナがいそうな場所に毛鉤を入れていくことにします。

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そしたら何と!釣れました!いきなりイワナ20cm!今シーズン初めての20cm台のイワナです。普通の白っぽい糸を巻いた毛鉤(#13)です。

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しかし、川に下りて200mほど行ったら、今度はこんな大きな滝と淵が!これはもう無理です!だいぶ下まで川を下りて、もう一度山中に入らないとこの滝は越せそうにありません。もちろん、この淵にも毛鉤を何度か入れてみましたが、こういう場所はテンカラ向きではありません。まったく反応なし。あきらめて、今回はここで引き返すことにしました。

川を下りながら、イワナの姿を探しますが、なかなか魚影を見ません。ところが川を下りていると、ある場所で小ぶりのイワナがエサを待っていました。

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それがこんな場所。左から右に向かって川が流れていて、赤い線のところが流れの芯です。その中で、赤い点線で丸囲みした場所にイワナが泳いでいました。しばらく観察していると、丸囲みの場所にある四角い岩が、ちょうど流れに対してかけあがりのようになっていて、流れてきた水がこの石の傾斜を一気にさかのぼっているのです。つまり、流れてくるエサも一気にここに集まってくるということ。イワナはここで、流下してくるエサを待っているのです。

そこで、丸囲みの少し手前に毛鉤を落とせば、ちょうどイワナの鼻先に毛鉤がながれるだろうと思い、先ほど20cmのイワナをかけた白い毛鉤を投げてみました。狙い通りに毛鉤は流れていったのですが・・・イワナは見向きもしません。もう一度チャレンジ。今度は、少しイワナが反応したのですが、またすぐに元の定位置に戻ってしまいました。

どうやらこのイワナは、水面を浮いているエサを待っているのではなく、水中を流れてくるエサを待っているようです。

そこで、水中を流せるビーズヘッド毛鉤に変更。これを、イワナの鼻先に流してみると・・・

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やった!狙い通り!16cmと小ぶりでしたが、とてもきれいなイワナでした!今回も2匹ともその場でリリース。

こうやって読み通りに釣れると、とてもうれしいですね。

仙香谷は、まだまだ奥が深い谷です。しかも、この奥にはまだ赤坂谷が続いてます。とても1日では行き着けません。すごいなあ、愛知川。