Forest and River

森のこと、川のこと

渓流撮影行7(今年最後は山奥へ)

2018年最後の渓流撮影に行きました。

3月からテンカラ釣りを始め、師匠もいない中、一人で毛鉤を巻き、渓流に通って、竿を振りました。9月末までの漁期に26回テンカラに行き、竿を1本折り、写真撮影できた釣果はわずか17匹。撮影前に逃げられたものを入れても計20匹ほど。

この釣果にはもちろん満足していませんが、それでも生まれて初めて渓流釣りをした今シーズン、とても楽しかったです。

10月の禁漁期に入ってからは、イワナたちの姿を写真に収めようと渓流に通いました。釣りの腕がまだまだなのに、魚の姿を写真に撮るなんてできないだろうなあ、と思いながら通いましたが、やはり通っていると、それなりに魚の居場所なども分かってきます。これまで6回撮影に行くうち、徐々に魚の姿も撮れるようになってきました。

さて、そんな撮影も、雪が降れば行けなくなります。この地域では、例年だとクリスマスの頃から雪が積もり始めるのですが、暖冬の今年は全然積雪なし。しかし年を越すと、どうなるかわかりません。12月25日に、今年最後、いやもしかすると今シーズン最後の撮影に行くことにしました。

今回は、雪が降るとまず行けなくなるだろう、という山奥へ初めて行くことに。林道を行けるところまで車で行き、そこからは等高線に沿って山の中を歩いて行き、谷に出るはずのルートです。

今回の撮影を含めて、今シーズンは15の谷に行きましたが、今回のように山の中の道なき道を歩いて谷に出るというケースは初めて。谷まで無事にたどり着けるか心配でしたが、それより心配だったのは、無事に谷から出られるかということ。谷に下りるのはどこからでも下りられますが、谷から車を置いた場所まで戻る等高線まで戻れるかどうか・・・

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こんな斜面を等高線沿いに歩いて行きます。傾斜はかなり急。はるか下の方に川が流れていて、川の音は聞こえます。はっきりとした道はありませんが、所々に標識代わりのビニルテープが巻いてあります。しかし、次のテープが見えるほど近い間隔でテープが巻いているわけではないので、テープを探して進むというより、獣道のような踏み分け道を自分で探しながら、時折テープがあったら「ここでいいんだな」と確認する意味でテープを頼りに進みます。

ちなみに私は、渓流を歩くときはあまりテープなどの目印を当てにしないようにしています。だって、そのテープはどこへ誘導するためのテープか分からないでしょう?登山目的で尾根に誘導されるかもしれないし、植林地の管理のためスギ林に誘導されるのかもしれないし、貴重な植物にマーキングしてあるだけかもしれませんから。

さて、この踏み分け道は幅20cmほどしかなく、足を踏み外したり道がずってしまえば一気に滑り落ちます。しかも足元は登山靴ではなく、ラバーソールのウェーディングシューズ。一度の気の緩みが取り返しのつかない事態を招きますから、慎重にゆっくりと進みます。

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時折、斜面の上を見上げると、葉を落とした落葉広葉樹がきれいです。秋はさぞきれいだったろうなあ・・・と思いながら進みます。

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約30分歩いて、ようやく川にたどり着きました。最近、雨があまり降っていないのに、結構な水量が流れています。岩場が多く、落ち込みも多い。いい感じの川です。

しかし、魚の姿は見かけません。深みの中に入っているなら、見つけるのは難しいか・・・深みから水深が浅くなるかけ上がりのところにも、姿が見えません。この日の気温は8.5度とまずまず高いですが、水温は4度と少し低め。

どんどん登っていくと、時折、魚の姿を見かけるようになりました。しかし、水面が荒れているため写真を撮っても無駄に終わりそうなのでスルー。そういう状況が4,5回続き、この谷では魚の写真は難しいなという結論に至りました。

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さらに登ると、岩だらけで高低差のあった谷の様相が変化し、なだらかな地形になってきました。炭焼き窯の跡がいくつか出てきます。炭焼き窯があるということは、この周辺は炭焼きの材料に適した広葉樹の木々が多かったということですが・・・

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しばらく行くと、すっかりスギの植林地となってきました。川もフラットな感じで、魚がいても撮影前に気付かれてしまいそうです。地形図を見ると、しばらくはこのような地形が続くので、これはもうダメだなと思い折り返すことにしました。

前回撮影に行った谷も両岸が植林地のところが多かったですが、かなり荒れ気味でした。この谷の植林地はある程度手入れされているようです。こんな山奥にまで、植林し、手入れしに来ている人たちがいるというのはすごいですね。せっかく植えて手入れしたのだから、この木々を有効に使ってもらいたいものですが・・・

以前なら、このスギを伐って、しばらくすると少しずつ広葉樹が育ってきたでしょうが、シカが多くなった現在はシカの餌場になるだけでしょうね。かといって、このまま伐らずにどんどんスギが多くなっても立ち枯れていくスギが増えていくだけ。みんな人間が招いてしまった問題です。

今年最後の渓流撮影行では、残念ながら魚の姿は撮れませんでしたが、大きなケガもなく33回の渓流行きを無事に終えられたことに感謝し、また2019年も渓流に行けることを楽しみにしたいと思います。

解禁まで、あと2ヶ月余り!