Forest and River

森のこと、川のこと

渓流撮影行

10月15日、久しぶりに渓流に行きました。久しぶりといっても最後の渓流釣りから2週間余りなのですが・・・

10月1日から禁漁で釣りはできないので、今回の目的は写真撮影。まもなく本格的に始まる紅葉のための下見撮影です。紅葉は、いち早く赤色に変わるシラキくらいでしたが、竿の代わりに大きな三脚とデジタル一眼レフカメラを抱えて、久しぶりに写真のために山に入りました。

f:id:forest_and_river:20181017224249j:plain

苔むした岩とまだ緑鮮やかな樹林。紅葉はまだ先のようですが、雨上がりに行ったので緑がとても鮮やかでした。

f:id:forest_and_river:20181017224428j:plain

こちらは唯一紅葉らしい色になりかけていたシラキ。

f:id:forest_and_river:20181017224526j:plain

谷の風景も、まだ緑一色です。今回は三脚を持って行ったので、いつもと違ってスローシャッターで撮影できました。

f:id:forest_and_river:20181017224647j:plain

この谷のお気に入りポイント。大きなサワグルミの木が、複雑に根をからませています。

f:id:forest_and_river:20181017224740j:plain

サワグルミの巨木。渓流の中州のような小さな場所ですが、とても大きく成長しています。

f:id:forest_and_river:20181017224904j:plain

サワグルミを下から見上げたところ。四つ又に分かれた大きな木です。

f:id:forest_and_river:20181017225008j:plain

さて、今回は釣りができませんが、その代わりに楽しみにしていたのが昼食。釣りをしていると、昼食をとる時間も惜しいのでお湯を沸かしてのんびり昼食をとることはしませんが、今回はちょとした贅沢を楽しめます。

アルコールストーブで、ゆっくりお湯を沸かし、カップラーメンを食べるのです!楽しみ!アルコールストーブ(トランギア製)はこの日がデビュー戦。アルコールストーブはガスやホワイトガソリンのストーブに比べると火力が弱いという印象ですが、とても軽量でコンパクトなのが魅力的。そして燃焼の音がしない!バーゴのチタン製折りたたみ風防も初めて使用します。

f:id:forest_and_river:20181017225729j:plain

カップヌードルのお湯(300cc程度)を沸かすのにだいぶ時間がかかるかな、と思っていたのですが、思っていたよりずっと早く沸騰しました(時間を計るの忘れた)。ご覧のように結構な火力です。旅館で出てくる一人用鍋の固形燃料とは比べものになりません。ちょうど、チタン製風防にもきれいな焼き色がつき始めました。もちろん、渓流で食べるラーメンの味は最高です!

f:id:forest_and_river:20181017230054j:plain

昼食後、再び撮影を楽しみます。落ち葉の中には赤や黄色に色づいているものもあり、それが岩の上に散りばめられていました。

さて、いろいろな写真を撮りましたが、やはり気になるのは魚たち。産卵期に入り、イワナたちはどのような暮らしをしているのでしょうか。ところが、まったく魚影が見当たりません。まあ、今年から渓流釣りを始めた初心者なので見つけるのが下手なのもあるのですが、この谷の魚は全部釣られてしまったのだろうか思うほど姿が見えません。とはいえ、それなりに魚がいそうな場所は分かるし、どのような場所に産卵するかも少しは知っているのですが・・・

渓流に入って3時間ほど経ち、そろそろ帰ろうかと思った時、川の中でサッと動く影が!いた!しかも2匹!2匹がそろって逃げたということは、オスとメスがペアリングしようとしていたところかもしれません。

すぐ近くは細かい礫の多い「かけあがり」で、産卵には絶好の場所。これはもしや産卵行動か・・・

そう思ってそっと隠れ、カメラを据えて、再び魚が現れるのを待ちます。普段なら、一度隠れてしまった魚はなかなか出てきてくれませんが、産卵期はオスも必死なので、案外早く戻ってきてくれるかも・・・と思いながら、10分ほど待つと、1匹(たぶんオス)が戻ってきました。

f:id:forest_and_river:20181017230356j:plain

写真を撮っている時はてっきりイワナだと思っていた(釣りの時期にはここでイワナしか釣っていない)のですが、家に帰って写真をよく見ると、どうやらアマゴのようです。

産卵床に良さそうな場所を、ゆっくりとパトロールするかのような動きをしています。これは面白いと思い、腰を据えて撮影することにしました。

オスは10分ほどパトロールをして、一度深みに戻り、しばらくしたらまた縄張りに戻ってくるような動きをしています。30分ほど観察していると、もう1匹現れました!しかし、最初にいたオスが激しく追い回し、後から現れた魚を流れの下に追い落としました。

f:id:forest_and_river:20181017230623j:plain

後ろが追い回すオス。前にいるのは、きっと産卵床の縄張りを奪いに来た別のオスなのでしょう。

さらに待つこと20分。オスの前に、さらに1匹魚が。しかし今度はオスは追い回さず、後から来た魚の背後にそっと寄って、しばらく2匹で泳いでいます。きっとこれはメスかな・・・

f:id:forest_and_river:20181017230743j:plain

しばらく仲良く泳いでいましたが、メスは産卵行動に移ることなく、そのまま深みに泳いで行きました。まだ産卵には機が熟していないのでしょう。残されたオスは、1匹で縄張りをパトロールし続けていました。

秋の山。多くのみなさんは山頂目指して紅葉を楽しまれるでしょうが、私はこの秋はひたすら渓流の紅葉と、魚たちのドラマに注目したいと思います。