カマキリの亡骸
台風21号が去った数日後、とある幼児園の子どもたちを、園の近くの里山に連れて行きました。この子どもたちを里山に連れて行くのは今回で4回目。生き物を見つけるのがとても上手になり、また生き物の命を大切にする気持ちもずいぶん養われてきました。
この日も、小さなサワガニから大きなバッタまで、子どもたちがいろいろな生き物を見つけました。
そんな中、頭のないカマキリを食べているアリの集団を子どもが見つけました。
みんな、カマキリの死体を囲んでしばらくじっと見ていました。
無言の中にも、子どもたちの心にはいろいろな気持ちがよぎっているんだろうなあと思いながら見ていました。
この様子を見て、子どもたちの頭の中には、「かわいそうだなあ」とか、「アリもごはん食べないとしんじゃうからな」とか、いろいろな思いがよぎったことでしょう。
この様子に対して、どう反応すべきかということの「正解」はありません。それぞれが、それぞれで考え、解釈するしかないのです。私はそういう経験を、子どもたちにたくさんしてほしいと思っています。
今回の探検では、「穴だらけの葉っぱを見つけよう」もテーマにしました。
葉っぱに穴が空いているのは、誰かが葉っぱを食べたからです。葉っぱを食べた生き物がその時そこにいなくても、穴を見れば誰かが食べて、生きているんだということが分かります。
要するに、想像力です。その様子を見て周りを感じるというか・・・蝶が死んでいるのを見たら、一体何があったんだろう、誰にやられたんだろうなどと想像すること。そういう想像力も、今の子どもたちにはとても大事なものだと思います。
私が子どもたちを自然の中へ連れて行くのは、花の名前や虫の名前を教えるためではありません。身近な自然の姿を通じて、子どもたちの心に何かを与えていきたいからです。
この日の探検の最後に、立派なカマキリと道ばたで出会いました。
子どもたちが近づくと、カマを振り上げ、羽を広げて威嚇しています!子どもたちは威嚇しているカマキリをじっと見て、そのポーズを真似て、手を振り上げていました。
死んでいるカマキリと、一生懸命生きているカマキリ。
そうしたものに出会える身近な自然があることは、とても幸せなことです。