台風21号の爪痕
台風21号の襲来が9月4日。あれから10日余りが経ち、この間、私の勤める森では緊急的に対応すべき伐採等を行ってきました。
約80本の被害木を処理しなければならず、私でも伐れるような木もあれば、これはプロに頼まないとダメだという木もあり、まだまだ整備途上ですが、何とか子どもたちの受け入れは可能となってきたので、少し一段落です。
本日、改めて林内を見回ってきました。
森の入口で大きく裂けたケヤキの大木。幸い、利用者には影響のないところなので、緊急性は低いのですが、森の入口で目立つということもあるので、近いうちに処理せねば鳴りません。この木は、私の手に負えません。
こちらは林内で途中からぼっきりと折れてしまったアベマキ。太さ45cmほどもある木で、周りには大きな木がたくさんあるのですが、折れてしまいました。写真の右後ろにも、折れている木が写っていますが、ここは「風道」になったのかもしれませんね。
こちらも森の中ですが、南西の方向に向かって大きな木が3本倒れ、1本が折れました。倒れた木はカスミザクラとクヌギ、折れた木はイヌザクラです。
こちらは、倒れたクヌギの根元の様子。大きな木にも関わらず、根が浅い。一番薄いところでは50cm足らず、深い所でも100cmないくらいでした。
一方、こちらはスギ。この森にはもともとスギは多くないのですが、今回大きなスギが2本倒れました。
こちらは倒れたスギの根。この森は河辺林で、氾濫原であったため、土を掘るとすぐに砂利が出てきます。このため、土層が薄く木も倒れやすいのですが、このスギが生えていたところはごろごろとした石よりも、目の細かい砂利のような土が多かったです。
こちらは完全に道をふさいでいます。手の施しようがないので自前での処理はあきらめました。
被害木があった場合、「これは自分たちで伐れるだろうか」と考えながら見て回り、自前で処理できそうなものとプロに頼まないと無理そうなものに分けていきます。そんな中、今回、「これはプロでも手を焼くのではないか」と思ったのがこちら。
胸高直径で50cm、根元だと90cm近くある大きなクヌギ(か、アベマキ)です。途中で折れて、折れた木が根元の幹に載ってしまっています。おまけに、枝先は隣に生えている大きなケヤキの木にからんでいます。
その木を反対側から写した写真がこちら。以前、根元にニホンミツバチが巣を作っていたので、ぽっかりと空洞が空いているのですが、その影響か主幹部にも腐れが入っていて、そこで折れてしまったようです。
今回の台風では、クヌギやアベマキの木がたくさん折れました。他の木は、サクラやクマノミズキ、ケヤキなどがありますが、いずれも少数。大半はクヌギとアベマキです。
これからちょうどドングリが落ちるところなのに、写真左のようにまだ緑色のドングリがたくさん落ちてしまいました。今年はドングリひろいは十分楽しめないかもしれません。
今回の台風被害木で一番驚いたのがこちら。5本一度に根っこごと倒れたものです。
薄い根っこの下は、ご覧の通り。ゴロゴロと石がたくさんあります。こんな薄い根でよく今までがんばっていたなあと思います。
しかし、悲劇的なことばかりではありません。5本まとめて倒れた木々の上を見上げると、ご覧のようにぽっかりと穴が。ここから日の光が当たり、また新しい木々たちが育ってくるのです。
植物たちの力強さを物語る写真がこちら。これは、5本まとめて倒れてしまった木々の根元の様子です。太い幹が横倒しになっていて、左側は地面が垂直に持ち上がってしまっています。
そこに、まもなく花をさかそうとしているヒガンバナ。
でも、ちょっとおかしくないですか?本来だとこのヒガンバナ、地面から垂直に生えるはず。つまり、写真左から右に向かって・・・しかしこのヒガンバナたちは、9月4日に地面がコケてから、わずか10日余りの間に、生える方向を軌道修正し、地面に対して垂直では無く、本来生えるべき方向へと生えたのです。
何と、しなやかな生き方。すごいなあ、と感心しました。